アフターコロナの自分は?
真美健康体操協会 会長 山崎 比呂真
一冊の本を見つけました。人形作家・石井三千子さんの「昭和のこどもたち」という創作人形写真です。
全国各地で展示会をされているので、ご存知の方も多いかと思います。本をめくる事なく、表紙の写真に感動し心を揺さぶられる一冊でページをめくる度に、昭和のイキイキとした子供達が、泣き、笑い、はにかみ、甘え、怒った表情で昔の遊びに興じています。
タライで水浴び、鞍馬天狗のチャンバラごっこ、メンコ、子守、ケンカ……あまりにもリアルで可愛くて、つい話しかけてみたくなる程です。
周りの大人達、父ちゃん・母ちゃん・爺ちゃん・婆ちゃん・学校の先生等は柔らかい眼差しで子供達をています。生活するだけでも大変な時代、睡眠時間も充分ではなかっただろうに、 こんなに愛情いっぱいの眼差しを子供達に注いでいます。物が溢れ忙しい現代とは違い、素直で心豊かな時代だったのでしょう。
本に刺激を受けて、久しぶりに白黒写真の古いアルバムをめくりました。
わたしは永い間、時間を無駄にしないよう、すべては重要な事の順位を決めて物事を進め、忙しく飛び回ってきました。 そのやり方が性格にあっていた事もあり、苦にもせず苦にもならず過ごしていました。 しかし永いコロナの非常事態宣言下で、移動も制限され定期的に開かれていた研修会の数も減り、コロナ前には考えられないくらいお休みの日が多くなり、やがてイライラがつのってしまいました。 しかし永い自粛生活を自分ではどうする事も出来ません。経験した事のないゆっくりとした時の流れが、私を変えていきました。以前と同じ事をするにしても、少し落ち着いた気持ちでできるようになりました。
今では信じられないくらい時間の流れの遅さにも慣れた自分がいます。走って見落としていた景色も少し見えるようになったように思えます。 そんな自分に気づき始めた頃、石井三千子さんの「昭和のこどもたち」に出会いました。 本の中にはあの頃の「わ・た・し」がいました。幼稚園、小学校中学校と一緒に学んだ学友がいました。探偵ごっこをして遊んだ友達がいました。のびのびと育ててくれた両親がいました。よくケンカして泣かされた兄弟がいました。
コロナ生活が無かったら、「昭和のこどもたち」とも出会うことも無かったかもしれません。本当に厄介なコロナですが、アフターコロナはもう一人の少し成長した自分と出会う予感がしています。 皆さんも子供の頃の自分に出会ってみませんか?きっと手放せない一冊になると思います。